「株テック | Kabutech Lab.」は、日本株トレードを初心者向けに解説するメディアです。

ツールの使い方や考え方、環境構築方法を学ぶ場として、主に以下の内容を解説しています:

  • TradingViewを使ったバックテスト・ストラテジーの実践情報
    (プログラミング知識がなくても始めやすい検証ツールです)
  • 三菱UFJ eスマート証券のkabu APIを使った環境構築
    (日本株の発注が可能な数少ないAPI接続サービスです)

バックテストは自作プログラム(Pandasなど)で応用可能、発注は他の証券会社のRSSなどでも対応できます。
特定の証券会社やツールを強く推奨するものではありません。

以下の点にご留意ください:

  • 個別銘柄の売買や投資判断の助言は行いません。
  • サンプルのストラテジーやコードは学習・検証用の参考資料であり、実際の売買や利益を保証しません。
  • バックテストは過去データに基づく結果であり、将来の成果を保証しません。
  • 自動売買環境はエラーハンドリングと十分な整備が必須です。
  • 市場変動、システム障害、予期せぬ遅延やエラーなどのリスクがあります。

投資はあくまで自己責任です。リスクを理解して慎重に取り組んでください。

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ワイコフ理論入門|相場フェーズ・出来高・TPO/VPVRでサイクル構造を分析

テクニカル分析一覧

本シリーズでは、VWAP、VPVR、SMC、ワイコフなど主要テクニカル指標を整理して紹介しています。 各指標の特徴や押し目・戻り目の考え方、TradingViewでのチャート活用例をまとめており、 初心者から実践者まで、自分のトレードに応用できる情報を効率よく確認できます。

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🧩 ワイコフ理論入門|相場フェーズの分析

チャート は、人間心理の集合でできている。」そんな視点から相場を分解したのが、ワイコフ理論(Wyckoff Method) です。

ローソク足 インジケーター だけでは見えない「大口の意図と市場フェーズ」を読み解くことで、 トレンド転換点や仕掛け局面を高精度に捉えることができます。

💡 ワイコフ理論とは?
価格と 出来高 の関係から、市場の「吸収・分配・上昇・下降」といったフェーズを特定する理論。 シンプルながら、トレーダーの多くが基礎として学ぶ価値の高いメソッドです。

🧩 ワイコフ理論の基本構造

発案者:リチャード・D・ワイコフ

ワイコフ理論は、1920 年代の米国トレーダー Richard D. Wyckoff によって提唱されました。

当時、価格の背景にある「大口投資家の行動パターン」を分析した最初期のテクニカル理論です。

  • 目的:価格と出来高から「大口(スマートマネー)」の動きを察知する
  • 特徴:テクニカル指標に頼らず、純粋な値動きと出来高の関係に注目する
  • 応用範囲:株式・先物・FX などすべての相場に適用可能

💡要点 ワイコフ理論は「価格 × 出来高 × フェーズ構造」

🧩 4 つの相場フェーズ(サイクル構造)

ワイコフ理論では、市場の動きを 4 つのフェーズ に分けて捉えます。

フェーズ 市場の状態 主な出来高の特徴 トレーダーの行動例
① アキュムレーション(蓄積) 大口が静かに買い集める 出来高増加、値動きは横ばい 売り圧が弱まり反発準備
② マークアップ(上昇) 買い圧が優勢となり上昇 出来高が増えながら高値更新 押し目買い・トレンド順張り
③ ディストリビューション(分配) 大口が静かに売り抜ける 出来高増加、上値重くなる 高値圏で警戒・部分利確
④ マークダウン(下落) 売り圧優勢で下落継続 出来高が急増しながら安値更新 戻り売り・空売りエントリー

💡サイクルは繰り返す マークダウン後、再びアキュムレーションが始まり、相場は新しい上昇サイクルへ移行します。

🧩 フェーズ判定に役立つ「出来高 × 価格」の見方

ワイコフ理論では、「 出来高 の変化」がフェーズ転換の最重要シグナルになります。

シグナル例 意味合い
安値更新なのに出来高減少 売り圧が弱まりアキュムレーション期へ
高値更新時に出来高増加 トレンド継続(マークアップ期)
高値圏で出来高急増・上ヒゲ 分配(ディストリビューション)の兆候
安値圏で出来高急増・下ヒゲ 売りの投げ終わり(スプリング)を示唆

スプリング(Spring)

スプリング(Spring) の本質は「大口が相場をコントロールして、弱気のトレーダーを刈り取りつつ、次の上昇に向けた買い圧力を作る動き」です。

  • 大口の意図
    • 十分に仕込んだのでこれから本格的に買い上げたい
    • そのために売り圧力になりえる「早く売りたくなるトレーダー(弱気トレーダー)」を市場から排除したい
  • 仕掛け方
    • 一時的に価格を下げて(スプリング)、弱気のトレーダーに売らせる
    • 下げでショートしていたトレーダーの買い戻し(ショートカバー)を誘発
  • 結果
    • 弱気トレーダーが投げさせられ、大口は割安で買える
    • その後、一気に買い上げてショートカバーや個人トレーダーの飛びつきで買い圧力が強まり、価格が反発・上昇トレンド発生

💡 要は 「意図的な価格押し下げで、無駄な売り圧を取り除きつつ、自分の買い場を作る」 いわゆる「ふるい落とし」がスプリングです。

🧩 TradingView でワイコフ理論を可視化する

📊 出来高 × 価格帯を視覚化する方法

ワイコフ理論では、 出来高 プロファイル(VPVR) を使うとフェーズの滞留を視覚化できます。

  • 出来高の多いゾーン:大口が滞在した価格帯(アキュムレーション・ディストリビューション)
    • 大口がじっくりポジションを作る(買い集め)や利確するゾーン
    • 滞留時間が長く、価格が安定しやすい
  • 出来高の少ないゾーン:価格が急速に通過したゾーン(マークアップ・マークダウン)
    • 大口の買い上げや、個人の飛びつき(イナゴ)の影響で価格が急速に通過するゾーン
    • 短時間で価格が動くため出来高は薄く見える

💡VPVR の補足
「Volume Profile Visible Range」は、TPO の“時間”ではなく“ 出来高 ”を軸にした可視化手法です。

TradingView のコミュニティスクリプト

TradingView のコミュニティでは、ユーザーが作成・投稿した インジケーター やツールを利用できます。 公式 インジケーター だけでなく、こうしたスクリプトを活用することで、TPO や VPVR の確認も可能です。

💡 独自コードによる再現は現在準備中です

🧩 ワイコフ理論 × VPVR × TPO の併用例

シナリオ ワイコフ構造 TPO の対応パターン VPVR の特徴 戦略例
アキュムレーション後の上抜け スプリング〜マークアップ初動 VA 下限からのブレイク 出来高増加+ HVN 形成 順張りロング
分配局面での上ヒゲ+高出来高 ディストリビューション終盤 VA 上限からの反落 高値圏で出来高急増 逆張りショート
売り枯れ・出来高減少 マークダウン終了期 POC 下抜け後の戻り 安値圏で出来高減少 短期反発ロング

💡 つまり、TPO で「時間の重み」VPVR で「 出来高 の重み」 を確認し、
ワイコフのフェーズに当てはめることで、相場構造を立体的に分析できます。

具体的な戦略例(ロング目線)

  • 出来高ゾーンの確認
    • VPVR で出来高が集中している価格帯をチェック
    • TPO でも滞留時間が長ければ、大口の仕込みゾーンの可能性が高い
      • → ここで注目価格帯を監視対象に(アキュムレーションと仮定する)
  • スプリング判定
    • 前日や過去の Value Area (VA) 下限付近 に価格がタッチ
    • その後 VA 上限をブレイク したらスプリングと判定しエントリー(マークアップを狙う)
      • 注意: エントリー後に再度 VAL を下回った場合は前提条件の不成立と判断 -> 撤退(損切り)
  • 利確管理
    • POC に近づいたら部分利確(複合プロファイルなどを利用しつつ大口の重心を意識)
    • VR や TPO の高値 + 価格停滞 が見えたら残りを全利確(ディストリビューション)
  • ポイント
    • TPO と VPVR を組み合わせることで、「時間 × 出来高」の両面で大口の動きが把握できる
    • スプリング後のトレンドは派手に動く場合があるので、段階的に利確しつつ追従

💡 コードや戦略はあくまで学習用のサンプルです。 実際の利益や成果を保証するものではありません。
必ず バックテスト などで検証の上、ご自身の判断・責任で戦略に取り組んでください。 👉️ バックテストで戦略評価・戦略設計

🧩 まとめ

  • ワイコフ理論は「価格 × 出来高 × 心理フェーズ」で相場を分解する分析手法
  • 4 つのフェーズ(蓄積・上昇・分配・下落)は、出来高パターンで見分けられる
  • TradingView では VPVR(または出来高とゾーン描画)で可視化が可能
  • TPO との併用で、市場バランスと大口行動の両面を把握できる

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