結論:JavaScript(Node.js)とkabuステーション APIで株の自動売買は可能?筆者の結論

Node.js(JavaScript)で株や仮想通貨などの 自動売買 システムを作ることは、個人で実運用するレベルであればまったく問題ありません。筆者自身もNode.jsベースでシステムを組み、kabu API を使って運用しています。
ただし、JavaScriptの性質上、いくつか気をつけたいポイントがあります。
本記事では主に、以下のような特徴や落とし穴にフォーカスして紹介します。
🔰これからコードを書き始める・始めた方に向けて
このページでは、Node.js(JavaScript)を使って 自動売買 を行う際に気をつけたいポイントをまとめています。
少し専門的な内容も含まれますが、「今しっかり理解できなくても大丈夫」です。
実際にコードを書いていくうちに、「ああ、そういうことか」と感じられることが多い分野ですので、ひとつの参考として読んでいただければと思います。
1. 小数点の誤差に注意(浮動小数点)

JavaScriptでは、数値の計算に「浮動小数点数(float)」が使われています。これは他の言語でも同様ですが、JavaScriptの場合、型がゆるいぶん意識せず使ってしまいがちです。
例えば、次のような計算。
console.log(0.1 + 0.2); // 結果: 0.30000000000000004
「え?0.3じゃないの?」と思いますが、これはコンピュータの仕様(IEEE 754)により誤差が出る典型例です。
対応策:
金額や数量などの計算には、decimal.js等の浮動小数点誤差を避けるライブラリを使うのが安全です。
npm install decimal.js
const Decimal = require('decimal.js');
const result = new Decimal(0.1).plus(0.2);
console.log(result.toString()); // "0.3"
2. JavaScript(Node.js)での非同期処理落とし穴と対策

JavaScriptは非同期処理が基本の世界。 API へのリクエスト、ファイルアクセス、タイマー処理などはすべて非同期(async/await)で動きます。
問題は「意図した順番で処理されない」ことがある点です。
setTimeout(() => {
console.log("後から実行される");
}, 1000);
console.log("先に実行される");
// → 結果:
先に実行される
後から実行される
対応策:
時間にシビアな処理(板情報の更新や複数注文の送信)では、処理順や完了待ちを明示的にコントロールする必要があります。
JavaScriptでは`await`や`then`を使って、**「前の処理が終わるまで次に進まない」ようにできます**。
ただし、これらは**Promiseを返す関数でないと効果がない**点には注意しましょう。
// ✅ OK例:Promiseでラップすることで await が正しく働く
function updateBoard() {
return new Promise((resolve) => {
setTimeout(() => {
console.log("板情報を更新しました(Promise版)");
resolve();
}, 100);
});
}
async function main() {
await updateBoard(); // → ちゃんと待つ
console.log("注文を出します");
}
main();
// → 結果:「板情報を更新しました」→「注文を出します」の順で実行される
3. 型のない言語という落とし穴(TypeScriptの導入)

JavaScriptは「動的型付き言語」です。つまり、数値・文字列・オブジェクトなどを自由に扱える反面、間違いに気づきにくいのが難点です。
たとえば、数値として期待していた変数に、途中で文字列が入っていたりすると…
const price = "100"; // 本当は number で欲しかった
console.log(price * 2); // 結果: 200(←動くけど意図とズレる)
対応策:
TypeScriptを使えば、コードに型を明示できるため、間違いを事前に防ぎやすくなります。
function buy(price: number) {
// price に文字列を入れるとコンパイルエラーになる
}
💡 TypeScriptはとても有効ですが、導入したからといってバグがゼロになるわけではありません。あくまで“ミスに気づきやすくする補助ツール”という位置づけです。
特にJavaScriptのコードは、TypeScriptでチェックされた後にJavaScriptとして変換(=コンパイル)されて実行されるため、「実行時のバグ」までは完全に防げないことに注意が必要です。
4. 処理が1スレッドであること(=CPUが忙しいと詰まる)

Node.jsは基本的に**シングルスレッド(1つの流れ)**で動いています。つまり、CPUを使う重たい処理を 自動売買 と同じプロセスで走らせると、レスポンスが悪くなることがあります。
対応策:
- 定期的なAPI呼び出しや注文処理などは、なるべく軽量に保つ
- 必要に応じてchild_processやWorker Threadsでマルチプロセス処理に分ける
5. 言語としての限界もある(でも実用上は問題なし)

Node.jsはJavaScriptベースのランタイムであり、そもそも低レイテンシ処理やハードウェア最適化を前提に作られていません。
- CやC++などと比べて、細かいメモリ制御やCPUキャッシュの最適化は不可能です
- 本気でナノ秒を競うような高頻度取引には向いていません
- Web向けに進化してきた技術なので、最高速より「扱いやすさ・非同期性」が主眼です
たとえるなら、Node.jsは「街中を軽快に走る原付バイク」。
もし アローヘッド 直結レベルでナノ秒単位の超高速アルゴリズムを構築するつもりなら、Node.jsの利用は慎重に検討すべきです。
ですが、kabuステーション API を使った一般的な自動売買であれば、Node.jsは十分に実用的かつ安定した選択肢です。
✅ kabuステーション APIの400ms制限とJavaScript(Node.js)の相性
たとえば、
kabuステーション
API
の
WebSocket
経由の板情報は、最大でも約400msごとにしか配信されないという仕様があります(※すべての板更新が届くわけではなく、間引きがあります)。
これは、たとえ超高速な言語を使っても、APIの仕様そのものがボトルネックになるということです。
つまり、以下のような用途であればNode.jsでも十分:
- APIを定期ポーリングしてシグナルを判定
- 約定状況を監視して次の注文を出す
- Slack通知など外部サービスと連携
- WebSocketを使ってリアルタイム性の高いデータを受信
💡まとめると:
Node.jsは言語・ランタイムとしての限界はあるものの、日本株の通常 自動売買 用途なら“ちょうどいいバランス”。
無理にF1マシンを選ばなくても、原付でも法定速度では先に着けるケースがたくさんあります。
✅まとめ:基本的には問題なく使える。筆者としてもおすすめです。

Node.jsは、
自動売買
の基盤としても十分実用的に使えます。
現実的には、
API
との連携、注文の実行、定期的なデータ取得などもスムーズにこなせます。
ただし今回紹介したような――
- 小数点の誤差(浮動小数点)
- 非同期処理の順序
- 型チェックのなさ
- 重たい処理との干渉
といった 「JavaScriptという言語特有のクセ」 を知っておくと、より安定した動作につながります。
最初からすべてを理解していなくても問題ありません。
まずはシンプルな構成から始めて、徐々にこういった視点も意識していくことで、トラブルを減らしやすくなります。
筆者自身もNode.jsで日々の 自動売買 を運用していますが、個人レベルの運用であれば、十分に現実的な選択肢です。
ぜひ一歩踏み出してみてください。