公開日時:2025-05-19 更新日時: 2025-05-31

バックテストとは?売買を始める前に必ずやっておきたい検証ステップ

トレードに取り組むうえで、** バックテスト (過去検証)**は避けて通れない重要な工程です。
この記事では、 バックテスト の基本や必要性、実際の始め方、初心者向けのツールや注意点について、筆者の経験も交えながら解説したいと思います。

そもそもバックテストって何?システムトレードの出発点!

バックテストとは、過去の株価データに対して売買ルールを適用し、利益、損失がどのように動いたかを検証する作業のことです。

たとえば「5日 移動平均線 が25日を上回ったら買う」といったルールが、
過去の相場でどれくらい利益を出せたのか?を数値的に確かめます。

バックテストを行う目的

ロジックの有効性を確認するため

本番運用の前に「そのルールが通用するのか?」を事前に把握できます。

想定される利益・損失の幅を知るため

最大 ドローダウン リスクリワード のバランスも見ておくことで、リスクを可視化できます。

改良やチューニングの材料にするため

パラメーターを調整しながら、パフォーマンスの良い条件を探すことができます。

今日から始めるバックテスト!初心者向けステップガイド

1. 売買ルールを決める

まずは、明確な売買ルール( エントリー イグジット の条件)を設定します。

  • 例:移動平均線のクロスで売買
  • RSIが30を下回ったら買い、70を超えたら売り
  • 株価が直近高値をブレイクしたら買い(ブレイクアウト戦略)

2. バックテスト環境を用意する

TradingView:

初心者でも使いやすい代表的なツールとしては TradingView がおすすめです。

プリセットもあって手軽に検証できます。
また Pine Script を使えばオリジナルのロジックも記述できます。

PythonやJavaScriptで自作環境を構築:

こちらはやや上級者向けだがより実用的です。

筆者は元々プログラムのスキルがあったので TradingView でも十分ではあるのですが
Pineだと細かいチューニング等ある程度限界もあって調整の煩わしさを感じたので自作してます。

3. 過去データで検証する

ツールに売買ルールを組み込み、過去の チャート に当てはめて検証します。
とりあえずは以下のような代表的な指標を確認しましょう。

  • トータル損益:
    • トータル損益とは、一定期間またはすべての取引における合計の利益と損失の総額を示す指標です。
      個別のトレード結果を合計することで、全体としてトレードが成功しているかどうか(収益がプラスかマイナスか)を評価する基準となります。
  • 勝率:
    • 勝率とは、トレード(売買)において勝ちトレードの割合を示す指標です。
      全体のトレード数のうち、利益が出た回数の比率を%で表します。シンプルながら、トレード戦略や手法のパフォーマンスを測定する際の基本的な指標の一つです。
  •  損益比率:
    • 損益比率とは、1回のトレードで「どれだけの利益を狙い、どれだけの損失を許容しているか」を示す比率のことです。リスクリワードとも呼ばれます。
  • 最大ドローダウン(連敗や下落幅):
    • 最大ドローダウンとは、資産のピーク(最大残高)から底(最小残高)までに減少した金額または割合のことを指します。
    • 言い換えると、「どれだけ資産が減ったかの最大幅」です。
      トレードや投資のリスクを評価するうえで、最も重要な指標の一つです。

4. 結果をもとにルールを改善

初回で良い結果が出ることは少ないので、
条件の調整利確/損切りの変更時間足の切り替え
などを繰り返しながら改善と検証を行うことが大切です。

これで失敗しない!バックテストの落とし穴と注意点

過剰最適化に注意

細かい条件分け等して過去の値動きに都合の良すぎるルールにすると、将来の相場では通用しないロジックになる恐れがあります。

取引コストやスリッページを考慮する

売買手数料 スプレッド スリッページ を含めて結果を評価しないと、
実運用で損失が出る可能性があります。

検証期間は十分にとる

具体的な期間はルールや時間軸で変わりますが短期間で判断せず、できれば数年分のデータで検証しましょう。
例えば デイトレ であればトレード回数が最低100回ぐらいが目安になるかと思います。

過去データの取得方法

yahoo finace api

自作で過去データを検証したい場合は有名所だとyahoo finace apiで無料で取得可能です。
ただyahoo finace apiで取れる日数分だと少し期間が短めなので安定度に懸念があります。

TradingView

TradingView だと無料プランでもある程度の期間のデータはとれてると思います。
ローカルに出力したり、より長い時間のデータが欲しい場合は有料プランを検討します。

筆者の体験談としては当初無料で済まそうとyahoo finace apiでテスト作って運用。
したものの全然想定と違う動きで損失出しまくって痛い目をみた(期間が短すぎた)、
という失態があり、期間長めの過去データ取得の為にトレーリングビューのサブスクリプションに入ってます。
(ほんとは API で取りたいところですが今のところ手動で書き出すしかなさそうです。)

TradingView でなくても良いですが
多少のコストは投資と考えて少し期間長めの過去データで検証する事をおすすめします。

まとめ:勝てる戦略はバックテストから始まる!

バックテスト は、 システムトレード の「設計図のチェック」にあたります。
ルールを作ったらすぐ実運用するのではなく、まずは過去データでの検証を行うことが、失敗を防ぐ第一歩です。

ルールを作る > 検証ツールを使う > 結果を評価し、改善する

というプロセスを丁寧に繰り返すことで、より堅実な 自動売買 システムを構築できます。

TradingView が最初の取り組みとして手軽でおすすめなので
次のステップとして実際にテスト設定や数値の見方等を簡単に説明してみます。

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。紹介内容は実体験・調査に基づき、正確さを心がけています。

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  • 移動平均線

    移動平均線(Moving Average / MA) 一定期間の価格平均を線で表したテクニカル指標。トレンドの方向や勢いを視覚的に捉えるために使われ、株・FX・先物・暗号資産など幅広い市場で活用される。

  • リスクリワード

    リスクリワード(Risk-Reward) 1回のトレードでの「想定利益」と「想定損失」の比率。リスクリワードレシオ=想定利益 ÷ 想定損失。資金管理や戦略判断の基本指標とされる。

  • ドローダウン

    ドローダウンとは、資産のピーク(最高値)からどれだけ下落したかを示す指標で、損失の大きさや運用リスクを評価する際に使われます。

  • イグジット

    イグジット(Exit) 保有中のポジションを決済してトレードを終了すること。エントリーの反対で、利益確定や損切りの場面で用いられる。

  • エントリー

    新たにポジションを持ち、トレードを開始すること。「買い」または「売り」で相場に参入する行為を指す。

  • TradingView

    TradingView(トレーディングビュー)は、世界中の投資家・トレーダーが利用する高機能なチャート分析ツール & ソーシャルトレーディングプラットフォームです。 ブラウザベースなので、インストール不要でPC・スマホどちらからでもアクセス可能です。

    TradingViewの公式サイトはこちら

  • Pine Script

    TradingViewで独自のインジケーターや売買シグナルを作成できるプログラミング言語。シンプルな構文でテクニカル指標やアラート、バックテストのカスタマイズが可能

  • チャート

    株価や出来高などの値動きを視覚的に表示するグラフ。ローソク足・ライン・バーチャートなどがあり、テクニカル分析の基本となる

  • スリッページ

    注文した価格と実際の約定価格にズレが生じる現象。主に成行注文や急変動時に発生し、予期せぬコストとなることがある。

  • スプレッド

    株などの買値(Ask)と売値(Bid)の差額。板情報上で、買いたい価格と売りたい価格のギャップを示す。

  • 売買手数料

    株や先物などの取引ごとに証券会社や取引所へ支払うコスト。取引回数が多いほど影響が大きくなる。

  • デイトレ

    株を「その日のうちに売買して完結」させる短期売買スタイル。小さな値動きを狙って利益を積み重ねる手法で、スピードと判断力が求められる。主に板情報やチャートを見ながら行う

  • API

    API(エーピーアイ) アプリ同士が機能やデータをやり取りする仕組み。自動売買では証券会社のAPIを使い、株価の取得や注文をプログラムで実行できる。

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  • システムトレード

    システムトレードとは、事前に決めた売買ルールに基づき、感情を排して機械的に取引する手法です。略して「シストレ」とも呼ばれます。

  • 自動売買

    自動売買(じどうばいばい)とは、あらかじめ決めたルールやアルゴリズムに基づき、コンピューターが自動で取引を行う仕組みです。英語では「Algorithmic Trading(アルゴリズミックトレーディング)」や「Auto Trading」と呼ばれます。

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