公開日時:2025-11-04 更新日時: 2025-11-14

一目均衡表の見方と設定完全ガイド|トレンドと転換を“雲”で読む【TradingView対応】

一目均衡表は「相場の調和」を読むツール

トレンドが強いのか、勢いが弱まっているのか――。
その“全体のバランス”を一目で把握できるのが「一目均衡表 (Ichimoku Cloud)」です。

海外では “Ichimoku Cloud” と呼ばれ、世界中のトレーダーに使われる日本発の テクニカル指標
5つの線と“雲(Kumo)”によって、市場の流れ・強弱・未来のバランスまで視覚的に捉えられるのが特徴です。

移動平均線 MACD が「トレンドの方向」を示すのに対し、一目均衡表は「トレンドの流れとタイミングの調和」を示すツールです。

💡筆者メモ:一目均衡表は「相場の呼吸と調和」を読むための指標。
短期の動きに惑わされず、全体のリズムを捉えることができます。

公開日時:2025-09-22 / 更新日時:2025-11-25 TradingView無料プランと有料プランを徹底比較|初心者にもわかる特徴・料金・おすすめプラン 初心者向け|TradingViewは無料プランでどこまで使える?TradingV

👥 この記事は誰向け?

  • 移動平均線やMACDでは“今の相場の全体感”がつかみにくいと感じている人
  • トレンド転換だけでなく、「勢い」や「タイミング」も一目で把握したい人
  • TradingViewで雲の見方や、設定の意味を整理しておきたい人
  • スイング〜中期トレードで、順張りと逆張りを使い分けたい人

📖 この記事でわかること

  • 一目均衡表の基本構成(5本線と雲の役割)
  • 各線の意味と、相場が「強気」or「弱気」かを判断するコツ
  • トレンド転換を捉える実践的な見方(雲抜け・三役好転)
  • TradingViewでの設定方法とカスタム表示のポイント
  • 他の指標(MACD・RSIなど)との併用で精度を高める方法

一目均衡表の基本構造と意味

一目均衡表は、以下の5本の線で構成されています。

項目

計算式

意味

転換線

(過去9期間の高値+安値)÷2

短期トレンド

基準線

(過去26期間の高値+安値)÷2

中期トレンド

先行スパン1

(転換線+基準線)÷2 を26期間先に表示

未来の支持・抵抗①

先行スパン2

(過去52期間の高値+安値)÷2 を26期間先に表示

未来の支持・抵抗②

遅行スパン

現在の終値を26期間前に表示

トレンドの追認

このうち、先行スパン1と2の間の領域が「雲(Kumo)」です。
雲が厚い=相場が安定しており、抜けにくい抵抗帯。
雲が薄い=勢いが強く、トレンド転換が起きやすいポイントです。

見方の基本:雲と三役好転で方向性を判断

状況

意味

価格が雲の上にある

上昇トレンド優勢

価格が雲の下にある

下降トレンド優勢

価格が雲の中にある

方向感がない(様子見)

加えて、以下の3条件が揃うと強いトレンドのサインです。

三役好転(買いシグナル)

  • 転換線が基準線を上抜け(短期の勢いが中期を上回る)
  • 終値が雲を上抜け(トレンド転換)
  • 遅行スパンが価格を上抜け(市場全体が強気)

✅️ 三役逆転(売りシグナル)はその逆です。

時間軸に合わせた設定の考え方

TradingView のデフォルト設定(9, 26, 52)は日足ベースの伝統的な組み合わせ。

これは「9=1.5週間」「26=約1ヶ月」「52=約2ヶ月」を意味します。

スイング デイトレ に合わせて、短期化する場合は以下が目安です。

スタイル

設定(転換線, 基準線, 先行2)

特徴

スタンダード(日足)

9, 26, 52

最も一般的。バランス型。

スイング トレード

7, 22, 44

反応をやや早めたい方向け。

デイトレ ード

5, 20, 40

短期の値動き重視。ダマシが増える傾向あり。

💡ポイント:一目の数値は単なる慣例ではなく、「バランス=均衡」を表現するためのリズム。

✅️この表に示した設定値はあくまで一般的な目安であり、実際には自分のトレードスタイルや時間軸に合わせて、 バックテスト を行い最適な値を見つけるのが現実的です。
バックテスト についてはこちらで詳しく紹介しています。

一目均衡表 × MACD:流れと勢いの融合

  • 一目均衡表 → トレンドの方向とタイミング
  • MACD → 勢い(モメンタム)の強弱

この2つを組み合わせることで、「どの方向に動くか」+「どれくらいの力があるか」を同時に判断できます。

例:

  • 一目で雲上抜け(上昇転換)+MACDがゼロライン上昇 → 強い上昇トレンド
  • 一目で雲下抜け+MACDがゼロライン下落 → トレンド転換の初動

TradingViewでの実践例(カスタム表示)

//@version=6
strategy("Ichimoku Cloud", shorttitle="Ichimoku", overlay=true)

// === パラメータ ===
tenkan_len = 9
kijun_len = 26
senkou_b_len = 52
displacement = 26

// === 各線の計算 ===
tenkan = (ta.highest(high, tenkan_len) + ta.lowest(low, tenkan_len)) / 2
kijun = (ta.highest(high, kijun_len) + ta.lowest(low, kijun_len)) / 2
senkouA = (tenkan + kijun) / 2
senkouB = (ta.highest(high, senkou_b_len) + ta.lowest(low, senkou_b_len)) / 2
chikou = close

// === 各線のプロット ===
p_tenkan = plot(tenkan, color=color.new(color.red, 0), title="Tenkan-sen")
p_kijun  = plot(kijun,  color=color.new(color.blue, 0), title="Kijun-sen")
p_chikou = plot(chikou, offset=-displacement, color=color.new(color.green, 0), title="Chikou Span")

// === 先行スパン(未来へシフト) ===
p_senkouA = plot(senkouA, offset=displacement, color=color.new(color.orange, 0), title="Senkou Span A")
p_senkouB = plot(senkouB, offset=displacement, color=color.new(color.purple, 0), title="Senkou Span B")

// === 雲の塗り分け ===
cloudColor = senkouA > senkouB ? color.new(color.green, 80) : color.new(color.red, 80)
fill(p_senkouA, p_senkouB, color=cloudColor)
  • 他の指標と組み合わせて実装 → ダマシの少ないエントリーや利確のタイミングを自由に調整
  • バックテストで戦略評価 → 過去相場で精度や損益を検証
  • 通知機能を組み合わせる → 自動でアラート・発注まで可能

まとめ:一目均衡表は“相場の調和”を読むための羅針盤

  • 雲の厚みと位置関係で、トレンドの強弱を可視化できる
  • 三役好転・逆転で明確な転換サインを判断
  • MACDなど勢い系指標と組み合わせると精度が上がる
  • 数値設定は“リズム”であり、バックテストで自分の相場観に最適化を

一目均衡表は、単なるインジではなく「相場全体のリズムを感じ取るツール」。

慣れてくると、雲の形だけで“次の一手”が自然と見えてくるはずです。

TradingView初心者ステップガイド

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。紹介内容は実体験・調査に基づき、正確さを心がけています。

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