公開日時:2025-11-30

システムトレードで勝てない人が確認すべき3つのポイントとメンタルの壁

シストレで勝てない“原因”は概ね3つです。

システムトレード を始めたのに勝てない」「 バックテスト では良かったのに、実運用で増えない」
こんな悩みを抱える人は多いです。

あなたは今、こんな状況ではないでしょうか?

  • バックテストは+300%なのに実運用でマイナス
  • 勝率65%超えた!→ 3ヶ月後に資金半分になる
  • 「このロジックは聖杯だ!」と思ったのに全然増えない
  • 10万円で買ったEAやストラテジーを信じて資金突っ込んで大ヤケド

しかし実は、“勝てない理由”はほとんどが
優位性・ バックテスト の再現性・リスク管理の3つに集約されます。

この3つを理解すると、どんなロジックを使っても “なぜ勝てないか” を自分で判断できるようになります。

戦略の優位性があるか?

最初に確認するべきは、その戦略が統計的に勝てる根拠(優位性)を持っているかどうか。

優位性を見るための主な指標:

  • 勝率(高ければ良いわけではない)
  • PF(プロフィットファクター)
  • リスクリワード比(RR)
  • 最大ドローダウン(DD)
  • 期待値(Expectancy)

“なんとなく良さそう”で始めても、長期では絶対に安定しません。
数字で優位性を見抜けるかどうかがすべてです。

✅️ 勝率70%,RRが0.4の例

この場合 期待値 -0.02でマイナスになります。
つまり、短期的には勝てても長期で資金は減る設計です。

戦略の性質を把握する為に、各指標を理解・確認する必要があります。
詳しくは下記の記事で説明しています。

👉️ 勝率・PF・ペイオフレシオ・期待値・最大ドローダウンで戦略を正しく評価

バックテストの精度は適切か?

バックテスト の数字はスタート地点にすぎません。重要なのは「その数字に再現性があるか」を確認する必要があります。

成績が良くても、以下を見落としているケースの場合は注意が必要です。

カーブフィッティング(過剰最適化)と統計的根拠の不足

過去の チャート に合わせただけの“危ない戦略”の可能性があります。

  • サンプル数が少ない
  • 特定の期間だけ良い(これも危険)

✅️「過去 チャート にピッタリ合う魔法の戦略(いわゆる聖杯)」は存在しません。 手法の条件を必要以上に複雑化し、過去 チャート に合わせすぎると、過剰最適化(カーブフィッティング) が起こります。

詳しくは下記の記事で説明しています。

👉️ カーブフィッティングの罠|過剰最適化を避ける戦略検証の視点

実運用コストの無視

手数料・ スリッページ ・取引制約を入れた途端に成績が崩れる。

✅️ 手数料0、 スリッページ 0で バックテスト して「年利50%!」
→ 実際は手数料+ スリッページ でマイナスに暴落。

詳しくは下記の記事で説明しています。

👉️ バックテストの限界|スリッページ・取引コスト・約定ズレ・流動性を解説

リスク管理が甘くないか?

戦略や指標がどれだけ良くても、 ロット 管理とリスク設定が間違っていると簡単に破綻します。

よくある失敗例:

  • 勝率40%×RR2.0の戦略なのに、資金を大きく張る
    • → 数回の連敗で資金激減
    • → ルール逸脱 → 破綻
  • PF1.1〜1.3の戦略で高ロット
    • → ちょっとブレただけで資金が大きく減る

正しいリスク管理は、戦略の指標(PF・ 勝率 ・DD)に応じて設計する必要があります。

→ じゃあ具体的にどうやってロットを決めるのか?


実は ケリー基準 バルサラの 破産確率 を使うと、 「この戦略なら1トレード何%が理論的に最適か」 「 破産確率 を0.1%以下に抑える ロット はいくらか」が計算できます。

詳しくは下記の記事で説明しています。

👉️ 破綻しないためのリスク管理とロット設計|ケリー基準・バルサラ活用

ドローダウン(DD)と運用者自身のメンタル管理

基本的にはこの3つを正しく理解して設計できていれば、長期的に勝てる可能性は一気に高まります。

しかし、多くの人が最後にぶつかる壁があります。

それが ドローダウン (DD)と運用者自身のメンタル管理」 です。

どれだけ理論的に完璧な戦略でも、

  • DDが想定より深くなる
  • 連敗が続く
  • 資産曲線が横ばいの期間が長い

こういった局面で ルール逸脱が起きると、すべてが崩れます。

忍耐の期間は必ず発生する

ざっくり言うと、どうしても “ガマンの期間” が発生します。

そしてこの期間に訪れる 疑心暗鬼・不安・焦り に耐えながら、それでも ルールを崩さず淡々と売買を執行し続ける のは、正直かなりしんどいです。

例えば──

直感的には「下がりそう」と感じる。
でもシステムは「ここが エントリー ポイント」と示す。
ルール通りに エントリー すると、途端に下がる。

そして、これが 1ヶ月以上繰り返す。

こういったことすら実際に起こりえます。
それでも、ルール通りに執行し続けなければいけません。

最後に残るのは“メンタルの壁”

この“ガマン期間”は机上の勉強では埋まりません。
運用者自身が経験を積むことで、徐々に慣れていくしかない領域です。

言い換えると、勝てる戦略を持っているのに勝てない人の“最後の敗因”は、
戦略そのものではなく、システムを信じ切れないメンタルに起因する。

メンタルへの備えは下記でも詳しく紹介しています。

👉️ 損失に耐える力|システムトレード運用者のメンタルと実践マインド

まとめ:勝てない理由は「理解不足」に起因する戦略設計の脆さとメンタルが原因の可能性が高いです。

多くの人が勝てないのは、戦略が悪いのではなく

  • 優位性
  • バックテスト
  • リスク管理

この3つの理解が浅い可能性が高いです。

さらに、長期で運用する上では メンタル管理の難しさ も勝敗を左右します。

どれだけ理論的に完璧な戦略でも、連敗やDDの期間に耐え切れずルールを逸脱すると全てが崩れるのが システムトレード の現実です。

逆にこの3つを押さえ、かつ ガマンの期間を耐え抜くメンタル を持てば:

  • どんなロジックが危険か
  • どんなバックテストが信用できるか
  • どんな戦略が長期で残るか

が自然と理解できるようになります。

下記の記事の順番に沿って進めれば、

「精度の高い バックテスト → 実運用に耐えうるロジック評価」 までスムーズに理解できます。

あなたの状況に応じて、必要な情報を選びながら活用してください。

👉️ 負けない為の理論的な戦略設計と最適化ガイド

TradingView初心者ステップガイド

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。紹介内容は実体験・調査に基づき、正確さを心がけています。

あわせて読みたい

  • システムトレード

    システムトレードとは、事前に決めた売買ルールに基づき、感情を排して機械的に取引する手法です。略して「シストレ」とも呼ばれます。

  • バックテスト

    バックテストとは、過去の市場データを使って、トレード戦略の有効性を検証する手法で、勝率やリスクを事前に数値化できます。

    バックテストとは?売買を始める前に必ずやっておきたい検証ステップ

  • 期待値

    期待値とは、ある取引を繰り返した場合に得られる平均的な利益(または損失)を示す数値で、長期的な優位性の判断に使われます。

  • チャート

    株価や出来高などの値動きを視覚的に表示するグラフ。ローソク足・ライン・バーチャートなどがあり、テクニカル分析の基本となる

  • スリッページ

    注文した価格と実際の約定価格にズレが生じる現象。主に成行注文や急変動時に発生し、予期せぬコストとなることがある。

  • ロット

    ロットとは、金融取引における取引数量の単位を指す言葉で、株・FX・先物など幅広い市場で使われる基本用語です。

  • 勝率

    勝率(しょうりつ) 全トレードのうち、利益が出た回数の割合を%で示す指標。戦略のパフォーマンスを測る基本要素の一つ。

  • ケリー基準

    ケリー基準は、資金をどれだけ投資すれば資産が長期的に最大化されるかを計算する資金管理法。元はギャンブル理論ですが、今ではトレードのポジションサイズ決定にも活用されています。

  • 破産確率

    破産確率は、トレードを繰り返す中で資金が尽きて運用を続けられなくなるリスクのこと。資金管理が不十分な場合やリスクの高い取引では特に重要な指標です。

  • ドローダウン

    ドローダウンとは、資産のピーク(最高値)からどれだけ下落したかを示す指標で、損失の大きさや運用リスクを評価する際に使われます。

  • エントリー

    新たにポジションを持ち、トレードを開始すること。「買い」または「売り」で相場に参入する行為を指す。

Kabutech Lab.のご案内

無料で実践的なテクニカル分析やトレード戦略を学ぶことができます。
初心者でも順を追って学べるよう、
VWAPや出来高分析・ピボット・S/R
Market Profile・ワイコフ・SMC
など、
すぐにトレードに活かせる知識を体系的に学べます。
さらに、自動売買構築・バックテスト・ストラテジー作成 にも応用できます。

無料でテクニカル分析を学ぶ