ストキャスティクスで相場の“勢いの限界”を見抜く

トレンドが続くのか、そろそろ反転か――。
そんな「転換の一歩手前」を読み解くのに優れているのが、ストキャスティクス(Stochastic Oscillator) です。
RSI と同じく“オシレーター系”に分類されますが、より敏感に相場の勢いの変化を捉えるのが特徴。
MACD が“トレンドの呼吸”を読むツールなら、ストキャスは“勢いの息継ぎ”を感じ取るツールと言えるでしょう。
💡筆者メモ:ストキャスは「トレンドの終わりを予感させるセンサー」。
行き過ぎた値動きの「戻り」を狙う戦略に強い指標です。
👥 この記事は誰向け?
- RSIやMACDを使っているが、もう一段早く反転サインを掴みたい人
- 短期トレード(デイトレ・スキャルピング)でエントリー精度を高めたい人
- TradingViewでストキャスを活用した戦略を作りたい人
- ストキャスと他指標を組み合わせて“ダマシを減らす”方法を知りたい人
📖 この記事でわかること
- ストキャスティクスの基本構造と役割
- %K・%D・スムージングの意味と設定の考え方
- トレンドの終わりや反転を捉える実践的な見方
- RSI・MACDとの組み合わせによる相乗効果
- TradingViewで使えるカスタムストキャスコード例
ストキャスティクスの基本構造を理解しよう

ストキャスティクスは、「一定期間の高値・安値に対して現在値がどの位置にあるか」を数値化した指標です。
勢い(モメンタム)と過熱感の両方を同時に確認できるのが強みです。
項目 | 内容 |
|---|---|
%K(ケー) | 現在値が期間内のどの位置にあるかを示す |
%D(ディー) | %Kの移動平均。シグナルラインの役割 |
Slow(スムーズ) | ノイズを減らしてダマシを防ぐための平滑化 |
TradingView の「Stoch」インジを追加すると、これらのラインが自動で描画されます。
設定の基本とおすすめパターン

用途 | %K期間 | %D期間 | スムージング | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
標準設定 | 14 | 3 | 3 | TradingView デフォルト。万能型 |
スイング 向け | 21 | 5 | 5 | やや鈍感で、トレンド重視 |
デイトレ 向け | 9 | 3 | 3 | 反応が早く、短期反転狙い向け |
スキャ向け | 5 | 2 | 2 | 超短期。ノイズも増えるが初動を掴みやすい |
💡ポイント:期間を短くすると反応が早くなるがダマシが増え、期間を長くすると精度は上がるがシグナルが遅れます。自分のトレードスタイルに合わせて調整しましょう。
✅️この表に示した設定値はあくまで一般的な目安であり、実際には自分のトレードスタイルや時間軸に合わせて、 バックテスト を行い最適な値を見つけるのが現実的です。
バックテスト についてはこちらで詳しく紹介しています。
実践的な見方:クロスだけでなくゾーンを見る

多くの人が「%Kと%Dのクロス」だけに注目しますが、それだけでは不十分です。
本当に重要なのは、クロスがどのゾーンで発生しているかです。
状況 | 解釈 |
|---|---|
%Kが%Dを上抜け(下限20以下) | 買いシグナル。底打ち反転の初動 |
%Kが%Dを下抜け(上限80以上) | 売りシグナル。天井圏での反転 |
中間ゾーン(40〜60)でのクロス | トレンド中の一時調整。見送りが無難 |
💡コツ:クロス+ゾーンの位置関係を見ることで、「勢いの限界」がより明確に判断できます。
組み合わせて精度を上げる:RSIとのハイブリッド

RSI
は過熱感を滑らかに捉えるのに対し、ストキャスは“瞬間的な勢いの行き過ぎ”を捉えます。
両者を組み合わせることで、短期反転+中期トレンド判断の両立が可能です。
状況 | 解釈 |
|---|---|
RSI が50超&ストキャス上昇クロス | 上昇トレンド再開のサイン |
RSI が70超&ストキャス下降クロス | 過熱状態からの反落シグナル |
RSI が30未満&ストキャス上昇クロス | 売られすぎ反転ポイント |
TradingViewで使えるストキャスカスタム例(Pine Script)

//@version=6
strategy("Stochastic Oscillator Custom", shorttitle="STO_Custom", overlay=false)
// === 入力 ===
kLength = input.int(14, "K Length")
dLength = input.int(3, "D Length")
smoothK = input.int(3, "Smoothing")
// === 計算 ===
k = ta.sma(ta.stoch(close, high, low, kLength), smoothK)
d = ta.sma(k, dLength)
// === プロット ===
hline(80, "Overbought", color=color.red)
hline(20, "Oversold", color=color.blue)
plot(k, color=color.teal, title="%K")
plot(d, color=color.orange, title="%D")
bgcolor(k > 80 ? color.new(color.red, 90) : k < 20 ? color.new(color.blue, 90) : na)- 他の指標と組み合わせて実装 → ダマシの少ないエントリーや利確のタイミングを自由に調整
- 詳しくはこちら
- バックテストで戦略評価 → 過去相場で精度や損益を検証
- 詳しくはこちら
- 通知機能を組み合わせる → 自動でアラート・発注まで可能
- 詳しくはこちら
まとめ:ストキャスは“勢いの限界”を読むためのコンパス

- %Kと%Dのクロスだけでなく、ゾーン(80・20)を見る
- 設定値は時間軸に合わせて調整する
- RSIやMACDと組み合わせるとダマシが減る
- TradingViewで自作すれば、通知・自動発注にも発展可能
ストキャスティクスは“勢いの息継ぎ”を読むためのツール。
相場の疲れをいち早く察知して、反転を先取りしましょう。